リクガメの主食についての考え方と配合飼料の使いどころ
この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。
リクガメの餌の理想はバランスの良く栄養価を意識した食事ですが、配合飼料もそこに加えることができます。
ですが、配合飼料単体ではあまり良くない食事になってしまいます。
その原因とどう配合飼料を使うべきかについてまとめました。
リクガメの餌の理想
理想的なリクガメの餌と言うとまずあげられるのが、桑の葉、大根葉、蕪の葉があります。
簡単にまとめるとカルシウムが多く、カルシウム/リン比が高く、高食物繊維で低たんぱくといった特性が優れているとされることが理由です。
カルシウムとリン
リクガメは大きな甲羅を形成するために多量のカルシウムを必要とします。
そのため、できるだけカルシウムの多い野菜、野草が理想的となりますが、リンとの比も重要なポイントです。
リンが多いとカルシウム代謝を阻害してしまうため、高カルシウムであるだけでなく、カルシウム/リン比が大きいことが求められます。
理想はカルシウム/リン比が5以上であり、大根葉、蕪の葉が5ちょうどくらい、桑の葉では10を超えるような良質な特性が評価されています。
このように上記3種は理想的な数字となっていますが、このように高い数値の野菜や野草は多くありません。
そのため、自然下のリクガメは野草だけでなく、カルシウムを含む土も食べることで補っているようであり、飼育下であれば炭酸カルシウムの添加で補うなどの対応が必要となります。
カルシウムがうまく代謝されないと、成長の遅滞だけでなく、場合によるとクル病や甲羅の軟化などの病気になってしまいます。
高食物繊維低たんぱく
食物繊維は多い方が良く、しっかりと取らせるべきです。
栄養にはならないものの、便がしっかりと出せるようになり、便秘や結石の予防になります。
また、リクガメのような草食動物の場合、腸内環境が一度崩れると体調にも影響が出てしまうため、スムーズに排便できることが重要です。
また、たんぱく質はとりすぎると結石のもとになる恐れがあるため、多くはとらせない方が良いです。
そのため、食物繊維と水分でしっかりと便と老廃物を出させて、たんぱく質と尿酸を体から排出できる食生活にします。
配合飼料
これに対して、配合飼料はどのようなものなのか見ていきます。
まず、カルシウムとリンですが、これは完全にバランスよく配合されており、全く問題ありません。
むしろ野草や野菜よりも人が調節して最適な状態にできるのでしっかりと取らせることができますし、さらにビタミンDも配合して完全にカルシウム代謝に必要な物質が含まれている状態になっています。
次に食物繊維とたんぱく質ですが、こちらが問題となって配合飼料だけでの飼育は推奨できません。
配合飼料でメインに使われている物はトウモロコシや大豆といった穀物やアルファルファといった牧草系の草になりますが、これらは高たんぱく低食物繊維となっています。
特に大豆は植物質でたんぱくを取る場合に重宝されるような高たんぱく食品ですので、かなり栄養価は理想からかけ離れてしまいます。
水分量があまり変わらない4つの食べ物の栄養価を比較してみると下表のようになります。
たんぱく | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | Ca | P | Ca/P | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
g | g | g | g | mg | mg | ||
トウモロコシ | 3.6 | 1.7 | 16.8 | 3 | 19 | 63 | 0.3 |
大根葉 | 2.2 | 0.1 | 5.3 | 4 | 260 | 52 | 5.0 |
小松菜 | 1.5 | 0.2 | 2.4 | 1.9 | 170 | 45 | 3.8 |
アルファルファ | 3 | 0.4 | 2 | 0.4 | 14 | 37 | 0.4 |
トウモロコシは高たんぱく高食物繊維となっており、脂質が多いのが少し気になります。
アルファルファは高たんぱく低食物繊維でこれだけを与えていては便通が悪くなってしまいそうです。
トウモロコシメイン配合飼料
アルファルファメイン配合飼料
ただし、これは配合飼料の主原料1つの成分表を見て主食にするには適さないというだけであって、栄養を取らせたいときには積極的に使っても良いと僕は考えています。
むしろ、食物繊維とたんぱく以外の栄養バランスはしっかりと調整されており、微量なミネラル分も補給できるように作られているため、配合飼料の立ち位置としてはサプリメントのような感じでしょうか。
調子が悪い個体の栄養補給などにはしっかりと効果が確認できますし、食いつきも良いので栄養的な面で免疫にプラスの効果があると思います。
実際に我が家では鼻水の出るような状態の個体には配合飼料の比率を高めて立て直しました。
このように主食にはできないけどしっかりと使えるとかなり栄養補給に効果的なのがリクガメの配合飼料だと感じています。
その他の原料の配合飼料
上記のように、高たんぱく低食物繊維の配合飼料が多くあり、また安く手に入るリクガメの餌ですが。さらにバランスが良くなっているものもあります。
ただし高いため、どう考えるかは人それぞれだと思いますが。
上記の餌は主成分が大根葉であり、かなり栄養バランスは良くなっていますが、お値段は高いので保存食を言ったところでしょうか。
普段は葉付き大根、葉付き株をスーパーで買えるならば買ってきて与えるのが良いと思います。
また、リックゼリーもバランスが非常に良い餌ではありますが、問題はかなりお値段が高い点です。
成分だけを見ているとこれだけでもある程度安定して飼育ができそうではあるものの、野菜、野草も織り交ぜてバランスよく使うことで良い食生活になると思います。
まとめ
リクガメの配合飼料は高たんぱく低食物繊維の物が多く、より良いバランスの物を考えると高いのが現状です。
主食には向かないものの。だからと言って使わない方がいいということもなく、要はバランスの問題であると思っています。
バランスを気を付けて使えば非常に栄養効率の良い餌ですので、使いどころを考えて、選択すると良いでしょう。