カメ、リクガメの卵詰りの恐怖と抱卵、産卵予兆の見分け方
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カメに限らず、爬虫類の♀の死因で一番多いのは卵詰りです。
カメのように甲羅があると、卵を持っているか確認するのも大変です。
ですが、爬虫類の♀を飼っているならば避けて通れないので、卵詰りの症状については事前に知っておき、その時に備えることが必要になります。
初期症状 抱卵
まずは初期症状として抱卵、卵を持っている状態での症状を説明します。
全ての生き物の♀は卵を体の中で作るのに非常にたくさんの栄養と体力を必要とします。
爬虫類であっても当然変わらず、その過程で独特の症状が出てきますので、これを見逃すことがないように日々の確認をすることが重要です。
カメ飼育に慣れている人であれば、「こいつ卵持ってるな」とすぐにわかる症状が以下の2つです。
爆食からの小食化
初めに見える抱卵の兆候は食欲が非常に旺盛になって、たくさんの餌を食べるようになることです。
水棲カメであるとクーリング中では4カ月ほど食べなくても大丈夫だったのに、抱卵の時期になると餌を豪快な動きで求めてくるようになります。
普段から観察していると、異常に餌に反応が良くなる時があり、このようなときはおなかの中で卵が作られているのかもしれません。
また、食後もせわしなく動き回り、あまり一か所にとどまっているといったことが少なくなります。
たくさん食べて、たくさん出し、この時に体内では卵の生成に時間をかけています。
このような動き回る姿を見た場合は、抱卵を疑ってみることがよいと思います。
わかっているならば、遠慮なく食べたいだけ食べさせてやると良く、特別に何かしなくてはいけないといったことはありません。
また、産卵に適正な体が出来上がると♀であれば♂と交尾が済んでいなくても毎年無精卵を産むことになります。
どうせ無精卵が確定している♀単独飼育の場合でも体内で作られた卵を産む必要があることに変わりはありません。
卵を体内にずっと持っており、産むのに適した環境ができていなくて産めないといったことは卵詰まりといった病気につながります。
たくさん食べさせて、たくさん運動させて、健康な産卵を促すことが産卵シーズンをのり切るために必要です。
健康的に♀のカメを飼育するためには産卵への対応は必須ですので、産卵のタイミングを見極めて産めるようにしてやることが飼育者の責務です。
このような爆食状態になる♀ですが、とたんに食べなくなる時期がきます。
こうなれば産卵はまじかであると考えてよいでしょう。
運動量が多くなる
卵をもって産めるようになると、運動量が増す場合があります。
(場合によっては見逃すかもしれない)
水棲カメであればばたばたと1日中泳ぎ回り、リクガメは土を掘るような動作をします。
そうなれば産卵したい状態にカメ自身はなっており、適切な産卵床があれば自力で産卵をしてくれる場合が多いです。
まず卵を持っているかの見分けは餌食いに気を付けて判断し、その後に産卵床で産卵するかを観察します。
上手く産卵してくれればそのシーズンは乗り切れたことになりますし、卵を持っているのに産めないようなそぶりを見せるのであれば病院で卵の確認と産卵促進剤で産ませるべく対応をとる必要があります。
初期症状を見落とすと最悪卵を持ったまま死んでしまいます。
餌食いが多く動き回っていたのに最近は食べるのが最近減ってきたなっといった性成熟した♀がいる場合は卵を持っていることを疑ってみると良いです。
産卵の兆候
上記で説明した通り、卵の生成が完了して産卵の体制が整うと今度は途端に食欲が低下し、ほとんど食べなくなります。
それでも1日中暴れまわるように動いている場合は産卵の準備が整った合図です。
産卵に向けて産卵床を用意し、自然に産卵をしてくれるように促します。
産卵の兆候が出ていても放置をしていると、水生カメでは水中産卵をする場合があります。
水中産卵の場合は有精卵であっても発生はほとんど期待ができなくなってしまうため、繁殖を狙うのであれば産卵床での産卵は必須です。
ですが、リクガメの場合は産めないことも多々あります。
水棲カメと比べるとリクガメのほうが抱卵しているのを放置するリスクが高くなります。
産卵の準備が整ったカメを産卵床で生活をさせると近いうちに産卵をしてくれます。
産卵が終われば水槽に戻しても大丈夫ですが、なかなか産卵をしない場合は動物病院で確認してもらい、必要であれば産卵促進剤を注射してもらうと良いです。
それ以外の判別
水棲カメであれば、直接触って卵を確かめることもできます。
カメの後ろ足の付け根から指をいれて、コリコリしたものがないかを確認します。
この方法では直接卵を触って確実に確認できますが、リクガメでは皮膚に弾力がないため出来ないです。
もう1つの確実に判別する方法としてはレントゲンがあります。
レントゲンではだいたい何個持っているかまで判別ができますので、産みそうだと考えているが、その気配がない場合にとってみると安全です。
合わせて産卵促進剤を注射してもらうことで、すぐに産卵が期待できます。
ただし、産卵促進剤は効果が短く、注射後半日程度しかもたないため、適切な環境ですぐに産めるようにしてやる必要があります。
抱卵の可能性がある場合は産卵床を準備して動物病院に行きましょう。
これらの問題は♀にのみ発生するものです。
可能性であれば初心者はお迎え時に性別を選んで♂にするといったことができるとよいのですが、カメは性別の判断できるようになるまでに生後数年かかるためベビーでの判別はなかなか難しいのが現実です。
ですが、ブリーダー本人から直接話を聞けるならばTDP(温度性決定)でどちらにしているか確認することもできる場合もあります。
カメは卵を管理していた場所の温度で性決定が可能な種が多く、聞いてみる価値はあります。
ペットとして1頭だけ飼育する場合は選べるならば♂を選んでおいた方が楽ではあります。
最悪の場合
産卵ができる状態になっていながらなかなか産卵に至らない場合、病気としての卵詰まりが問題となってきます。
良くある場合としては、飼育ケージ内に産卵場がないため、産みたいけどスイッチが入らずに産めないケースがあります。
このとき、卵は内臓を圧迫し、食欲の低下がみられます。
最終的に産めない場合は放置しておくと死亡してしまいます。
♀1頭だけを飼育している場合も無精卵を産むため、♀とわかったならばそのうち産卵があると考えておくと良いです。
産卵できない状態を放置していると、最終的に処置を行う場合は開腹手術になることもあります。
また、健康的な食事と運動を続けている個体はあまり影響はないものの、変形卵や未熟卵が発生することもあります。
その場合も何とかして体外に排出しなくてはなりませんので最悪の場合は手術となります。
カメの♀の産卵はそれほどまでに健康に影響があり、飼育するならば知っておかなくてはならないことの1つに入ります。
似たような症状 結石
抱卵状態と似たような病気に結石があります。
結石の場合にも食欲の低下がみられますが、運動量は変わらないか減少するような症状を発します。
このような症状が気になれば病院に行き、レントゲンを撮ってもらうとよいでしょう。
まとめ
重要なことは♀であれば産卵をすることがあり、産卵の兆候を見抜いて正しくケアをしてやることです。
産卵には体力を使うため、大切な♀カメを健康に飼育するのであれば知っておくべき知識です。