カメのスマートホームを作ったIT活用法
インドホシガメ飼育では環境の維持が必要であり、定期的に温湿度計で確認している飼育者がほとんどだと思います。
我が家では、温湿度の記録を連続的にできるような温湿度ロガーを作成して設置することで、1日のうちの変化も確認できるようにしています。
温室度ロガーの機能
まず、設置している機器の機能としては、温度と湿度を合わせて1分毎に計測してファイルに記録するような構成になっています。
機器はUSB給電で動かしており、特に操作せず放置をしておけば記録が自動的に行われるようになっています。
また、測定したデータについては、グラフに加工して表示できるようにしており、グラフィカルに1日および複数日の温度変化を確認できるようにしています。
▼温度急落時のデータ(一部欠損あり)
このように確認できるので、空間温度が下がりすぎている場合はいち早く対応ができるようにしています。
1日の温湿度変化を記録しておくことで飼育施設の改善方向が見えてきます。
機器構成について
この機器については1台2000円のシングルボードコンピュータの「RaspberryPi Zero WH」と800円の温湿度センサー「BME280」を接続して構成しています。
これらの設定については完全に僕の別の趣味の領域で作っていたものであり、ハード、ソフトの設定とプログラムの自作をして簡単にグラフを表示できるように設計しました。
▼見た目
既存の製品で記録を取ることもできますが、測定の精度があまり良くない上にかなり価格が高く、保存できるデータ量が少ないといいところがないので自作しました。
RaspberryPiはwifi接続で我が家のネットワークにつながっているため、普段生活している部屋のPCからデータを毎日1回確認することで異常がないか確認しています。
このようにIT機器を使って飼育に必要な作業の簡素化を図ってインドホシガメのスマートホームを作っています。
データの有効活用
ただデータを記録しておいて、毎日問題がないか眺めるだけでも十分に有効な活用方法ですが、長期的にデータを取っておくことはほかにもいろいろな面で利用可能な記録となります。
まず、1日の温湿度の変化がわかるため、気象データと突き合わせて比較をすると、様々な気温、気象条件での温室内温度が予測できるようになります。
湿度については温度によって大きく変わるため、記録として見ることしか活用方法がないですが、温度は非常に強力なツールになります。
これで天気予報を見て温室内の最低気温が予測できるようになるため、急な寒波で一時的に気温がガクッと下がった場合の対応も可能になります。
将来的にはこの機能も自動化できればと考えていますが、今は自分の感覚で大体の温度を予測して事前対応を打っています。
さらに、飼育環境の長期記録があると、どのような環境であれば安全に健康に飼育できるのかといったラインもわかってきますので、目指すべきポイントを具体的で裏付けのある数字で示すことができるようになります。
今はすべての個体が健康であるため、健康時にどの程度まで温度、湿度が下がっても大丈夫なのか記録として残すことができます。
と言っても安全な範囲から意図して下げることはありませんが、不意に状況が悪化してしまった場合の記録は数字としてもっています。
ですので、僕はある程度成長した健康なインドホシガメは一般的に思われているよりも頑強であると考えていますし、気候の良いときに調子を整えることの重要性を実感しています。
システムの将来目標
将来的なことも考えてこのシステムは構成しています。
現状ではハード、ソフトはここから大きく変えるつもり今のところはありません。
データの長期記録を数年行って、インドホシガメの飼育の実態を実測値から公開できるようなものを残せたらと考えております。
我が家から国内CBを出せた場合に次の飼育者の参考になるような情報をまとめておくことで、国内でインドホシガメの繁殖が活発化すれば良いと思いますし、明瞭な飼育指針があれば「飼育が難しい」と言われるようなこともなくなってくるのではないかと考えています。