爬虫類飼育における飼育者余力の重要性
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何事もですが、常に頑張って全力を出すことを続けていることは大変で、問題が発生した場合に対応できる余力がなくなってしまうリスクがあります。
飼育も一緒で常に全力でメンテを行っていないと維持できない生体数を抱えることは、僕はその人のキャパシティオーバーでそのうち不幸な結果を招いてしまうと考えています。
そのようなことを考えながら飼育個体数を増やすためには自分にそのキャパシティがあるかを考えつつお迎え計画を立てています。
飼育者タイプ別の飼育頭数
爬虫類飼育についての考え方の方向性は僕なりに区分してみると大きく分けて3通りあると感じています。
タイプによって良し悪しはありませんが、目指す方向が違ってそういった違いを含めて楽しめるのがこの爬虫類飼育といった趣味の良いところだと考えています。
・多数飼育ペット目的
爬虫類は哺乳類に比べて飼育が容易な種が多く、あまり手間がかからないといったことで最近人気化しています。
このタイプの飼育者として多いのが、多数の科や属にまたがって多数の個体を飼育している人であり、人によっては1カ月に10頭以上のお迎えをした人の話も聞いたことがあります。
ペットとして飼育する場合は、あまり繁殖には目を向けず、飼育している個体をいかに状態良く維持できるかを考えて飼育している人が多いようです。
また、このタイプの人ではコレクション性からお迎え欲が出てしまい衝動買いしてしまう例も見ており、飼育キャパシティ大丈夫かなと心配してしまうこともままあります。
・多数飼育繁殖狙い
僕はこのタイプであり、インドホシガメ,チズガメ属、アイセンラウトカナリアカナヘビの繁殖を狙って飼育しています。
主目的が繁殖であるため、繁殖に向けて環境の変化を付けたり飼育個体(特に♀)の体作りに気を使ったりといったことを考えて日々飼育をしています。
飼育が極端に難しくない種の繁殖者はこのタイプの人が多いようで、大規模に飼育して毎年成果を残している人が多いです。
数百頭の生体を維持して繁殖を成功させている人もおり、業界的に名の通った猛者がこのタイプで多い印象です。
僕もそのような人たちの仲間入りできるように日々精進しています。
・少数精鋭飼育
このタイプの人はあまり多くないですが、とにかく自分の飼育している種について研究したうえで徹底的にその種と向き合って飼育方法を確立していくような几帳面で研究者気質のタイプです。
このような人たちの育て上げた個体の調子はとにかくバツグンで限界まで最善を追い求めていくスタイルの人が多い印象です。
また、飼育情報の無い種の飼育方法を独学と試行錯誤で開発するような猛者も多くおり、このタイプの人たちが飼育情報を残してくれることで後人が続くことができています。
飼育方針「適度に手を抜く」
上記のタイプ分けの中では少数精鋭の人は普段からの飼育レベルをかなり高く追及し、手を抜いて飼育するといったことをしていないかと思います。
ですが、ペット目的にしろ、繁殖目的にしろ、かなり多数の生体を飼育している人の多くは状態を維持しているだけでも十分に労力がかかっているのではないかと思います。
日常的な飼育の範疇では余力を残しておかなくては、非常事態が起こって(例:不調な生体のケア、飼育者の体調不良)これまで通りのメンテが一時的にできなくなったりおろそかになった場合、他の生体の調子も悪化してしまうかもしれません。
なので、僕は飼育している生体すべてについて、「どこまで手を抜けるか」を知ったうえで飼育をしています。;
この「どこまで手を抜けるか」といったことを知ることは楽をしたいといったことではなく、僕の飼育方針として管理できる生体数を決めるために調べていることであり、常に余力を残しておくことを念頭に置いて行っていることです。
もちろん余力がある場合はより良い環境を目指して改善をしていきますが安定している種についてはかなりの時間は「手を抜ける」範囲内でほったらかしにいている場合もあります。
ただし、その中でも絶対に怠れないことは「観察」であり、日々の調子の変化を知っておくことです。
ここを怠ると病気になった場合の初期症状を見逃してしまうため、観察だけは絶対に行います。
「どこまで手を抜ける」といったことについては生体の状態や飼育環境の安定性を見ながら総合的に判断するべきであり、明確な基準は示せませんが、これも飼育のノウハウだと考えています。
手を抜くためのポイントと利点
「どこまで手を抜けるか」を知ったうえでの飼育については一朝一夕でできるものではありません。
その種や一般的な飼育方法について基本知識は徹底的に頭にたたき込んだうえで数カ月から1年程度は飼育して状態の変化を日々観察することである程度のラインが見えてくるものだと思っています。
僕はインドホシガメ飼育を始めて今年で3年になりますが、今年の春まで状態が悪い個体がいてなかなか完全に余力がある状態にはできていなかったです。
手を抜くためには生体の状態が良くないとかなり危険ですし、状態が良いことが大前提だと考えています。
そういった点では今年初旬のチズガメ属は常に状態が良く、全員健康的であったため、飼育リソースの大部分を調子の悪いインドホシガメに向けることができました。
今ではどの種も余力を残して飼育できているため、環境の改善に目を向けて長期計画を立てることができるようになっています。
このように安定している種にかけていたリソースを調子の悪い種に振り向けることができたり、調子の悪い個体が出ても余裕をもって対応できることが「どこまで手を抜けるか」を知っていることの利点だと僕は考えています。
まとめ
僕としては飼育個体が多いため、「どこまで手を抜けるか」を知ったうえでの飼育を目指しています。
ですが、どの飼育方法が飼育方法は人それぞれと考えており、一例としてこのような方針をもって飼育している人もいるといったことをまとめてみました。
大切なことは正解のない世界なので自分で考えて実行することだと思います。
僕は自分で考えていろいろな人の考え方を聞いてこの方法に行きつきましたが、そのうちより良い方法が見つかって方針が変わってくるかもしれません。
ですが現在新たにお迎えをする場合は繁殖計画と余力があるかを判断基準として飼育頭数を増やすようにしています。
なかなか思慮深くまとまっていますね。
見習いたいです。
ありがとうございます!
いろいろな人に飼育方法のモトをもらっているので僕も少しでも誰かの役に立つ内容を書けたらなと思っています。