電気代が1/3になる断熱設計

インドホシガメの飼育で一番難しい季節は冬です。

 

夏に調子を整えられていたとしても冬の準備が出来ていないと秋から調子が悪化したり、天気予報に右往左往したりして安心して飼育ができません。

 

高温多湿環境を整えるべきなのに、日本の自然環境は低温低湿です。

 

このため、加温加湿をしてやる必要があるのですが、暖房設備の設置とその電気代がかかり、大変な出費となります。

 

我が家の去年の冬の電気代は夏の3~4倍かかっています。

 

 

 

断熱の必要性

 

断熱は熱の流出入を押さえるため一般家屋にされていますが、これと同じ考えを飼育ケージにも持ち込むと飼育が少し簡単になります。

 

まず、第一に電気代が下がります。

 

冬場の生き物飼育で一番かかるコストは電気代です。

 

第二に飼育設備についても、保温球の数を減らして同じ温度を保てるようになるので配線をスッキリとした構成にできます。

 

電線がごちゃごちゃした環境よりスッキリとした見た目の方がいいですし、サーモスタット等の構成も楽になります。また、結露も抑制できるため、コンセントが濡れて漏電するような危険な状況も回避することができます。

 

そして一番大切なことが、外気温が大きく下がった場合も簡単に適温を維持できるようになることが生き物を飼育するうえでは大きいです。

 

これは非常に重要で最悪は命に関わりますので見た目で効果が実感できなくとも一番大切なことです。

 

なお、外気温との温度差20~30℃を作り出すのはなかなか簡単ではありません。

 

エアコンを使える環境であれば24時間付けっぱなしで実現できますがエアコンもかなりの出力を要求します。

 

飼育している生き物が元気に冬を乗り切るためには飼育施設の断熱が非常に効果的なのです。

 

 

用語の意味と断熱の基本

断熱を考えるうえで知っておかないといけない熱の基礎としては以下の用語と意味があります。

 

熱伝導:物質の移動を伴わない熱の移動

高温の物体に低温の物体を接触させた場合、高温部から低温部に流れるが、これが熱伝導です。

この熱の伝わりやすさを数値化したものが熱伝導率で数字が大きいほどよく熱が伝わります。(=数値が小さいほど断熱性能が高い)

 

熱伝達:物質の移動や相の変化を伴う熱の移動

水が気化した時に熱を奪う気化熱や温度差により発生する熱対流などがこの例であり、熱が移動する量が非常に大きい効果になります。

断熱を考える場合は空気の対流による熱の移動が起きないように設計するとよく、断熱材はいかに空気の対流が起きないようにするか考えて設計されています。

 

熱放射:電磁波による熱の移動

ハロゲンヒーター、セラミックヒーターなどの遠赤外線による加熱が熱放射であり、移動する熱量は温度によって大きく変化します。

また、熱放射の量は表面積に比例するため表面積を小さくすることで熱放射による損失を抑えることができます。

 

空気中に熱い物体を置いた場合、通常熱は急速に失われていくが、熱伝導率で比較すると空気の熱伝導率は全物質中でも非常に小さい(=熱を伝えにくい)性質を持っており断熱材の主な構成要素ともなっています。

 

ステンレスの熱伝導率:10~70W/m・K
ガラスの熱伝導率:0.76W/m・K
空気(20℃)の熱伝導率:0.026W/m・K

 

また、高温の物体の上に手をもっていくと熱い空気が下から上ってくることを感じることからもわかるように頻繁に熱対流が起きていることもわかります。

 

断熱設計のキモ

飼育ケージの断熱設計は熱が外に逃げることをいかに防ぐかが重要です。

 

熱は高温部から低温部に流れるため、高温になっているケージの外側からは常に外に対して熱が流れようとしています。

 

この過程では、以下の3通りの効果により熱が外に流れていきます。

 

・空気の対流
・熱放射
・空気への熱伝導

 

ここで、熱放射はケージ表面の温度によって決まってしまうため、まずは空気へ熱が伝わりにくくすることを考える必要があります。

 

ただ、空気は熱伝導率が低く、熱が伝わりにくい性質があることを考えると、まず必要となるのは熱対流への対策です。

 

広い空間にある高温の物体では常に熱対流が起きて急速に熱が失われています。

 

これは、空気が物体の周りで循環して常に低温な空気が物体の熱を奪っていくように流れができているためで、逆に考えるとこの過程を封じ込めることで熱を維持できるといったことになります。

 

ですので、断熱設計の第一としてはまずは熱対流が起きないように空間を仕切ることが重要です。

 

仕切りを置くことで、空気が停滞して熱が伝わりにくい状況が出来上がります。

 

断熱材は空気が主な構成要素となっていることはうえでお話ししましたが、仕切りの効果を熱の伝わりにくい物質で実現しているのです。

 

このように、仕切りを断熱材で行うと、表面温度で決まる熱放射によって熱が逃げる効果も小さくできます。

 

断熱材の表面温度は断熱材の空気層を伝わって外部に出てくるものなので、断熱材がないケージ表面の温度よりもかなり小さくなります。

 

そのため、熱放射の量も格段に小さくできるため、熱損失の量が抑えることができます。

 

熱対流を抑えることと、表面温度を小さくする(熱放射を減らす)ことで断熱材は熱を内部に抑え込むことができるのです。

 

断熱材とは

 

断熱材にはいろいろと種類がありますが基本の考え方は同じです。

 

熱が伝わりにくい空気を停滞させて高温部と低温部に空気のスペースをおくことで断熱しています。

 

身近なものだと発泡スチロールが分かりやすく、体積の98%が空気の発泡スチロール容器の内側は外気温の影響を受けにくいといったことでその効果は実感できるかと思います。

 

このように空気をとどめておくための素材は断熱材として利用でき、緩衝材のプチプチも断熱効果があります。

 

その他、ガラス繊維を束ねたグラスウールや石材質繊維で出来たロックウールなどいろいろとありますが、こちらは建設現場で使われるものになります。

 

断熱の基本は対流が起きないように仕切ることですので、断熱をしたい場所に合わせてどの断熱材を使うか選定する必要があります。

 

 

おすすめの断熱材

飼育ケージ用にオススメできる断熱材としては入手性や加工性からスタイロフォーム良いと思います。

 

スタイロフォームは発泡スチロールに似た素材で、なおかつ加工性の良い素材ですので、ケージの寸法に合わせて切断して設置ができます。

 

▼我が家の冬場のインドホシ部屋断熱施工中

ただし、スタイロフォーム自体の耐久温度80℃とはあまり高くないので火気は厳禁です。

 

保温球などの高熱源のある飼育ケージの内側よりも外側に設置するほうが安全ですので、外側を覆うように設置するとよいでしょう。

 

我が家のインドホシ部屋ではこのスタイロフォームを天井と側面に設置することで、熱の流出を減らしています。

 

エアコンなしの5㎥ほどの空間を、外気温-5℃の時に加熱量500Wで温室温度20℃を維持できています。

 

ケージ飼育であればもっと楽に安全温度を維持できると思います。

 

飼育環境を見る場合、保温球のW数や個数に目が行きがちですが、断熱も健康にリクガメを育てるためには必要です。

 

夏はラクに飼育できるインドホシガメはその分冬場に手がかかり、手間暇や費用を惜しんでいては飼育できません。

 

夏のうちに体調を整えるとともに、冬に向けての飼育設備の見直しも行うことが安全にインドホシガメを飼育するうえで重要です。

 

 

断熱設計の一例

120cm水槽において断熱材の効果を数値計算で求めてみます。

 

まず前提として、ガラス面は8mm厚の120cm×45cm×45cm水槽について外気温が10℃のとき保温球等によりで内部の空気を30℃に加熱していることを仮定して計算します。

 

計算にはこのサイトをお借りしました

https://www.hakko.co.jp/qa/qakit/html/index2.htm

 

この場合、断熱材がないと約450Wの熱量が外部に漏れることになります。

 

そのうち300W以上が熱対流でガラス外面の表面温度も約27℃と高いため、熱放射も130Wほどあります。

 

この状態で内部を30℃に保つためには損失分の450Wと同等の熱量が必要であるため、電気代が非常にかかってしまいます。

 

対して、断熱材を全面に使用した場合を考えてみます。

 

断熱材として2.5cm厚のスタイロフォーム(熱伝導率:0.04W/m・K)を考えて計算した場合、放熱量の合計は約70Wと激減します。

 

断熱材を入れただけで約15%の漏れ量まで削減できました。

 

この時も熱対流の影響が強く、約50Wの熱が対流で流出しています。

 

また、断熱材表面の温度は13℃の大幅に下がったことにより熱放射も20Wとなっています。

 

1側面を見えるように解放したとしてもかなりの放熱量の低減ができます。

 

このように断熱材使用によって熱の漏れが減ることで電気代も安くなり、目的の温度に維持する難易度も低減できることから、この季節の断熱は大きな効果があります。

 

 

電気代試算

上記で考えてみた水槽の場合で電気代を試算してみます。

 

前提として断熱材なしの場合、放熱量は450Wであり、断熱材がある場合は70Wとなりました。

 

ここで、断熱材有の場合でも普通の飼育を考えると1面は生体が見えるようにすると考えますので、1面を開放した場合の放熱量を別に計算して70Wと求めました。

 

そのため、断熱材有の場合140Wが放熱量となります。

 

断熱材有の場合で放熱量に釣り合う加熱をする場合を考えると140W×24時間×30日で一月当たり101kWhの電気を使うことになります。

 

このとき1kWh当たりの単価が25円だとすると1月当たり2,520円です。

 

単純に比で450Wのときの電気代を求めると8,100円でその差は5,580円になります。

 

断熱に使う資材の費用を考えると2カ月程度で元がとれそうですね。

 

 

まとめ

以上の試算のように断熱を行った場合の断熱材費用は簡単に電気代で回収できます。

 

また、試算には入れていない保温球などの設備の費用もかかるため実際はさらに経済的です。

 

それでいて飼育が安定することを考えると飼育ケージの断熱は必須なのではないでしょうか。

 

kamesaki

インドホシガメ飼ってます🐢 カメラもやってます📷 プログラムやDIYとかいろいろやります 超趣味人な生活を楽しむ人生を目指して日々精進!

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