リクガメの鼻水症状とその対処法
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リクガメの病気で一番多いのは鼻水の症状です。
たかが鼻水?
とは思ってはいけません。
鼻水はリクガメの重大な病気への入り口なのです。
リクガメの飼育で一番大切なのは病気にしないこと、早期に発見して早期に治療することです。
僕の体験として対処した事例を紹介することで苦しんでいるリクガメとリクガメ飼育者が減ればと思い、症状や効果を実感した対処法をここでは紹介しています。
鼻水
リクガメの病気としてよく症状を目にするものが鼻水です。
状態が悪いところで飼育していればすぐに症状が出ますし、売られている個体の中にも鼻水の症状が出た個体はよくいます。
鼻ちょうちんをつくって寝ているリクガメの姿は重大さを知らないあいだは可愛くうつるものです。
しかし、たかが鼻水と侮っていると命にかかわる事態を見逃すことになってしまいます。
リクガメにとって鼻水は人間で例えると肺炎くらいに怖いものです。
人間であれば風邪になった場合、鼻水も出ますが、咳、くしゃみで菌を外に追い出すことが出来ます。
また、我々人間は大抵の場合は自己免疫力だけでなんとかなりますがリクガメの場合は免疫の効果が働く前に重症化しやすく、重症化する前に症状の進行を食い止めることが重要です。
なお、重症化が早い理由としてリクガメには横隔膜がないことが事があげられます。
人は肺の下にあるこの横隔膜を上下させることで吸気、排気を意図的にできますが(鼻をかんだり、咳をしたり)リクガメにはそのようなことができません。
ですので、菌が外に排出されず、体の中に広がっていってしまいます。
また、リクガメの代謝は変温動物ゆえに環境温度に依存しますので、もともと環境がよくない(低温、低湿)から発症する鼻水の原因菌を免疫で対処するようなことは飼育者が意図して環境を変えることで対処しなくてはなりません。
このようにリクガメの鼻水をただの「風邪」と呼ぶのは軽率で早急に治療が必要な重度の「呼吸器感染症」と考えて対応する必要があります。
(風邪は軽度の呼吸器感染症の俗称ですが)
ですので早期発見、早期治療をが重要となります。
肺炎にまで発展すると手の施しようがなく、1晩程度であっさりと亡くなる事態につながりますので、油断は禁物です。
治療
爬虫類を診てもらえる動物病院が近くにある場合は、体力的負荷を考えてもできるだけ早く受診することを強くおすすめします。
動物病院でもらえる点鼻薬は非常に効果が高く、早い場合は2、3日で鼻水の症状が見た目ではおさまります。
リクガメでは、薬物療法と合わせて高温多湿(空気中の温度32℃前後、ホットスポット40℃前後、湿度80%以上)を1日中維持できる環境を用意して、調子をよく観察してあげてください。
参考:鼻水治療環境
高温にすることで免疫機能の効果を高め、多湿にすることで菌のさらなる体内への侵入を防ぎます。
また、飼育環境が悪い状態になっている可能性もありますので設置している物が衛生的かどうか見直し必要であれば早急に掃除を行うべきです。
爬虫類を診てくれる動物病院が近くにない場合は遠出してでも診てもらうか、高温環境を維持してリクガメ自身の免疫力回復を期待する他ないです。
飼育に慣れてくると闘病環境を構築することで動物病院に行かずに治療にすることができますし、予防もできるようになってきます。
ですが、初心者には動物病院の処方薬を使わずに様子を見る方法はリスキーですので、推奨できるものではありません。
また、調子が戻った場合でも油断はできません。
僕の経験ではインドホシガメは一度調子を崩すと完全に回復するまで半年程度かかっています。
治ったと思い、飼育していても少し温湿度が快適な範囲を下回ると再発してしまいます。
人間のように短時間で治るものではないので、鼻水が出ていないか毎日観察して処置をし、一緒に闘病生活を続けてきています。
僕が初めてお迎えしたインドホシガメも鼻水の症状が出ていました。
これまで爬虫類イベントでショップからお迎えしたインドホシガメたちは鼻水が出ている個体がほぼすべてでした。
カメたちの健康管理に力を入れているブリーダーさんからお譲りいただいた子は真冬も病気しらずに元気一杯で成長し続けているので、この種の健康管理は非常に大切で難しいことだと感じています。
まとめ
たかが鼻水と侮ることなく、症状を発見した場合はすぐに治療を行うことのできる環境を作って対処することが健康にリクガメを飼育していくためには必要です。
よくなりやすい病気だからこそ軽視されがちですが、普段は病気を隠す爬虫類が病気の症状を示していることは既に重大な事態なのです。
できるだけ早く治療して、環境を整えて調子よく維持するのがリクガメ飼育の一つのコツになります。